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三笠先生の健康コラム

第三回 『睡眠は万能薬』

人にとって睡眠は大切なものです。その理由に睡眠中には以下のことが起こるとされています。

① 脳の休息

②運動器(筋肉神経など)の効率的な休息、疲労因子を除去する

③覚醒中に損傷した細胞や心身の回復

④記憶の整理や定着、情動の整理

⑤ホルモンバランスを調整と免疫力を上げる

⑥血圧を下げて、身体の修復システムの促進

など、睡眠は人にとって必要不可欠なもので、睡眠の【 リズム 】、【 量 】、【 質 】が重要です。

【睡眠のリズム】

サーカディアンリズムとは、生まれながら体内に持っている体内時計のことで、24時間よりも少し長いとされ、毎日リセットしないと少しずつ生活時間が後ろへずれてしまいます。そして、このサーカディアンリズムには「メラトニン」というホルモンが重要で、眠くなるのはこのメラトニンの働きです。メラトニンを増やすためには材料である「セロトニン」が日中に分泌されている必要があります。昼のセロトニンと夜のメラトニンのリズムが良い睡眠をもたらします。このリズムを作るために、①朝起きたらすぐに光を浴びる、②入眠時間や起床時間を一定にする、③日中に光を浴びセロトニンの分泌を促す、④食事を一定にして内臓によるリズム調整をするなどを意識してみてください。

 

【睡眠の量】

睡眠中は、深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)が交互に起きます。ノンレム睡眠は酷使した大脳を休ませる睡眠で、浅いレム睡眠は全身の筋肉が弛緩し、エネルギーを節約し身体を休ませる睡眠です。短時間の睡眠では深いノンレム睡眠が主となり、浅いレム睡眠が短く身体の回復が少なくなります。OECD(経済協力開発機構)による世界の睡眠時間は平均8.5時間となっており、日本人は睡眠が少ないと言われています。適正な睡眠時間は、10歳代では10時間、20歳代では8時間、30~40歳代では7.5時間、50歳以上は7時間とされています。

【睡眠の質】

睡眠の質の評価には、①寝つきが良い、②熟睡感がある、③寝起きがすっきりしていることを基準にすると良いと思います。睡眠の質を悪化させる習慣や環境として、寝る前の喫煙、アルコールやカフェインの摂取、スマートフォンなどのディスプレイの光、明るすぎる照明などがあげられます。また、睡眠時無呼吸症候群や、アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)による睡眠の質の低下については、治療により改善することが期待できます。睡眠時間が6時間未満の状態が続くと、うつ状態の増加、癌・心臓病・糖尿病など健康障害リスクも増加します。睡眠はコストもかからず副作用もない万能薬です。睡眠のリズム、量、質に気を付けて生活すると、人生がかわってきます。

医)やまびこ 三笠貴彦

第二回 『国民病となった骨粗鬆症』

骨粗鬆症(骨粗しょう症)とは、骨の強度(骨密度や骨質)が減って、骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症は女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。下図のように、20歳代をピークに骨量の減少が見られ、女性では50歳から、男性でも70歳から骨粗鬆症の可能性が出てきます。

2015年において日本では、男性300万人、女性980万人(計1,280万人)が骨粗鬆症と推定されています。また2016年の国民生活基礎調査(厚生労働省)では、寝たきりなど要介護状態となった原因として、女性では運動器疾患(関節疾患と骨折・転倒の合計)が1位となっています。

高齢者においては生活習慣病以上に、骨粗鬆症による骨折を防ぐことが大切とさえ言われるようになってきました。

 

【簡単にできる骨粗鬆症のチェック(4つ以上は注意)】

①背が縮んだ

②背中や腰が曲がった

③日に当たらない

④運動不足

⑤喫煙

⑥過度の飲酒

⑦骨折したことがある

⑧(女性)閉経を迎えた、(男性)70歳以上

上記のうち4項目以上に該当した方は、ぜひ整形外科クリニックで骨密度測定を行ってください。

 

骨粗鬆症の予防は、なりやすい要因を1つでも減らすこと、そして運動が大切です。

下記に記載しましたので参考にしてください。

【骨粗鬆症になりやすい要因】

①カルシウム不足

②ビタミンD不足

③ビタミンK不足

④リンの過剰摂取

⑤食塩の過剰摂取

⑥極端な食事制限(ダイエット)

⑦運動不足

⑧日照不足

⑨喫煙

⑩過度の飲酒

⑪多量のコーヒー

【運動の目安】

2000歩(1.0km)が寝たきりにならない歩数

5000歩(2.5km)が骨が減らない

7000歩(3.5km)が骨が増える

8000歩(4.0km)が生活習慣病の予防

(70歳以上の平均歩幅50cmで計算)

 

 医療法人社団やまびこ 三笠貴彦(美しが丘東自治会6組)

(初稿)【腰痛】と【危険な腰痛】について

腰痛は、人間が二本足で歩行することの代償として背負った病気です。

国民生活基準調査によると、日本人の有訴率(病気やけが等で自覚症状のある割合)は、男性は、1位『腰痛』、2位『肩こり』、3位『咳や痰がでる』、女性は、1位『肩こり』、2位『腰痛』、3位『手足の関節が痛む』となっております。

この国民病となっている【腰痛】と【危険な腰痛】ついて書かせていただきます。

 

腰痛の原因としては、(A)外傷(ケガ)によるもの、(B)使いすぎや加齢によるもの、(C)腰以外の病気(内臓や血管)からくるものがあります。

(A)外傷(ケガ)によるものとしては、重い物を急に持ち上げたり、腰をひねったりした時におきる急性腰痛症(いわゆるぎっくり腰)が有名ですが、他にも圧迫骨折などもあります。

(B)使いすぎや加齢からくるものとしては、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などがあります。

(C)腰以外(血管、内臓)によるものとしては、解離性大動脈瘤などの血管の病気、尿管結石、膵炎、婦人科疾患、がんの転移などがあります。消化管のがんは、症状が出にくい場合もあり、骨に転移をして初めて発見されることも稀ではありません。

 

腰痛においては、原因や病態により治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

まずX線(レントゲン)検査で、骨の異常がないか(変形、バランス、骨折、がんの転移)を確認します。X線(レントゲン)検査では、判断が難しい時には、MRI検査、血液などを行います。

 

危険な腰痛として注意しなくてはならないは、

(1)安静にしていても痛みが全く軽くならない場合の、圧迫骨折、解離性大動脈瘤

(2)1カ月以上長引く場合の、がんの転移

また、(3)足のしびれ、麻痺(初期では筋力の低下) 、 間欠性跛行(長い距離歩けなくなること)など神経障害を伴っている場合は、進行し神経障害が今後改善しなくなる可能性があり危険な腰痛の可能性があります。

 

すみやかに整形外科などの医療機関を受診しましょう。

 

医)やまびこ 新横浜整形外科リウマチ科 三笠貴彦

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